
IEA エネルギー貯蔵委員会Dr. Wille氏、Dr. Hauer氏を迎えて拡大技術委員会を開催
IEA(International Energy Agency)エネルギー貯蔵委員会(ECES)委員長Dr. Astrid Wille氏、同幹事Dr. Andreas Hauer氏をお迎えして、拡大技術委員会を平成21年11月17日に中国電力(株)東京支社において開催しました。両氏からヨーロッパにおけるエネルギー貯蔵の現状と将来展望について講演いただき、その後、SMES研究会の活動状況と、最近の研究成果としてIEAよりご依頼いただいて検討を行った「電力補償用SMESの技術評価とコスト評価」について紹介し、その後情報交換を行いました。 Dr. Wille氏には、ドイツのCO2削減目標「2050年に2005年の50%削減」の達成に向けてエネルギー貯蔵の果たす役割について将来展望を含め幅広く紹介していただきました。ドイツでは、CO2の回収貯留(CCS)、再生可能エネルギーの利用、エネルギー利用の効率化の3つの方策により重点的にCO2削減に取り組まれており、電力貯蔵と熱貯蔵を使った効率的なエネルギー貯蔵・利用技術を提案していきたいとのことでした。 Dr. Hauer氏には、熱貯蔵技術について、特に、貯蔵した熱の利用先として食器洗浄機、冷蔵庫等、家庭の熱需要を適用するアイデアを紹介していただきました。エネルギー貯蔵では、貯蔵前後のエネルギー形態が同じ場合では、貯蔵に伴うエネルギー形態の変化が少ない熱貯蔵の方が電気貯蔵よりロスが小さいということで、熱のまま使用できる利用先を考えれば非常に有望であるとのことでした。 意見交換ではSMESの魅力について話題となり、SMESは貯蔵ロスが小さいことが最大の魅力だが、現時点でコストが高いことが大きなネックである、とのことでした。今回、エネルギー貯蔵について大変有意義な議論を持つことができましたが、今後とも、IEAエネルギー貯蔵委員会とSMES研究会では、熱貯蔵、電力貯蔵など幅広い分野について情報交換をしていくこととなりました。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― Fig.1 A. Wille博士による講演 Fig.2 A. Hauer博士による講演 Fig.3 東工大野村新一博士によるSMESロードマップの講演 (写真をクリックすると大きく表示します)
国際会議MT21で成果報告
第21回国際磁石技術会議(MT21)が,10月18日から23日にかけて中国合肥市(Hefei:上海から約500km西に位置する500万都市)で開催されました。Hefeiは10〜12世紀頃に包(Bao)一族が支配していた地域にある古い街です。 会議場は旧市街から10kmほど離れた新市街地にあるコンファレンスセンターでした。この会議では超電導磁石だけでなくあらゆる磁石技術について討論されます。今回は世界各国から約700名の参加があり,研究発表と活発な討論が行われました。午前9時から基調講演が行われ,その後午前と午後に口頭発表,ポスター発表が行われました。会議中日のテクニカルツアーでは,数年前に完成したプラズマ研究所の超電導トカマクを見学しました。 この会議で,東京工業大学野村新一博士が招待講演として,IEAから依頼された電力用SMESのロードマップについて報告しました(写真1)。詳細は平成20年度の技術報告書にありますが,技術的・経済的な検討結果が野村博士の明快な語り口で報告されました(写真2)。発表後,欧州などの研究者から議論や論文請求があり,関心が寄せられています。 一方,KEK佐藤皓教授等による医療用加速器のパルス電力補償用SMESについての研究成果もポスターセッションで報告されました(写真3)。これについても,ジュネーブで稼働し始めた大型加速器LHCの入射器の電力補償への応用可能性として関心が寄せられています。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― Fig. 1 野村新一博士によるSMESロードマップの研究成果報告(招待講演)。 Fig. 2 IEA依頼により作成した電力用SMES開発のロードマップ。 Fig. 3 ポスターセッション会場風景。周りは参加企業の展示場になっている。 (写真をクリックすると大きく表示します)
仁田理事長が電気学会の功績賞を受賞
当研究会の理事長仁田旦三先生が(社)電気学会から功績賞を受賞されました。受賞理由は「超電導工学・電力機器技術の発展と学会活動の活性化・国際化に関する貢献」で、先生のこれまでの超電導技術の電力機器への応用に関するご研究や、電気学会会長としての学会活性化と国際化に関する業績が認められました。
第21回超電導電力貯蔵研究発表会
当研究会による「第21回超電導電力貯蔵研究発表会」が、平成21年7月3日(金)、東海大学校友会館で開催されました。大学・研究機関、企業からの専門家約70名が参加し、活発な討論が行われました。 今回の特別講演は大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所元所長で、現在は顧問、名誉教授を務めておられる本島修先生による「超伝導技術によってここまで進んだ核融合エネルギー研究」と題して行われました。本島先生はLarge Helical Device (LHD) による核融合プラズマ生成を推進してきた第1人者です。 まず会長、理事長の挨拶の後、研究発表会として発表が行われました。技術委員長の秋田調より平成20年度の研究報告概要が紹介されました。研究成果の中から特に2件を選択し、東京工業大学の野村新一先生より「IEAからの依頼によるSMESロードマップの作成」と題して発表が行われました。これはIEA (International Energy Agency: 国際エネルギー機関)で検討中の2050年におけるCO2排出量を半減させるシナリオに対して、再生可能エネルギー大量導入時に対応するため電力貯蔵装置の容量を現行の100GWから500GWにするという目標を立てています。この目標を実現するための2010年度版地球温暖化対策ロードマップ作成にあたり、IEAから当研究会にSMESの技術調査の依頼が平成20年12月にありました。これを受けてSMESの適応領域、大型超電導コイルの開発実績、コスト評価、大規模SMES開発ロードマップの作成を行った結果が発表されました。 続いて、「医療用加速器へのエネルギー貯蔵装置」と題して、筑波技術大学の佐藤皓先生より発表がありました。ガン治療の新しい手段として放射線よりも副作用が少なく強力な治療が行える粒子線パルスを印加する小型シンクロトロン用の電力変動補償用SMESについて報告されました。 その後の本島先生の特別講演では、土岐市の核融合科学研究所でLHDを設計、試作し、1億℃のプラズマを得るまでのご苦労や困難を乗り越えてきたお話しをしていただきました。その中で、トランジスタ開発でムーアの法則と呼ばれる2年ごとに集積密度が倍になるという法則に対して、核融合研究は3年ごとに倍になっているというお話しがあり、27年後の核融合発電は夢ではなく現実の目標だとのことでした。最後に過去100年間の地磁気の現象が今後も続けば1000年後には地磁気が無くなってしまうという報告をご紹介されました。これは過去数十万年単位で地磁気の向きが反転してきたことからも現実にあり得る話で、その対策として地球の緯線方向に超電導線でコイルを巻き人工的に地磁気を発生させるという雄大な構想をご紹介いただきました。これにより地磁気を発生させると共に、送電線として用いることにより地球内での負荷平準化、エネルギー貯蔵コイルとしても使用できるとの大きな夢です。最後に重水素ガスの使用が可能になると、LHDを用いて3年後には300Wの電力を取り出し、世界初の核融合による電球点灯が可能になるというお話しで締めくくられました。 懇親会では、本島先生もご一緒に超電導を使った将来の夢の話や、現実の超電導電力貯蔵装置の話などをつまみに、各方面の専門家の間で懇親を深めました。
平成20年度見学会
平成21年4月23日(木)〜24日(金)、拡大技術委員会、会員交流会を兼ねた見学会が執り行われました。総勢12名の参加があり、見学会では北杜市のメガソーラ施設を見てきました。雄大な八ケ岳連峰を近くに望む広々とした原野に、NEDOの大規模太陽光発電の実証試験研究施設として総出力2MW級の太陽光発電設備が敷設されています。各メーカーの各種方式のソーラパネルが設置され、性能・耐久試験が行われていて、(株)NTTファシリティーズ岩戸様の明快な説明と専門的な質疑のもと大変興味深く見学しました。我国の太陽光パネル製作技術は世界一だと思っていますが、設置容量はドイツに後れを取っています。今や自然エネルギーの有効利用は地球環境にとって必要不可欠です。自然エネルギーの導入に伴い電力の安定供給のためには優れた電力貯蔵装置の開発が望まれますが、SMESは極めて有望な手段の一つです。見学会の詳しい報告は、6月発行予定の機関誌に掲載されます。 なお、前日に行われた会員交流会では、和気あいあいの内に情報交換が行われました。
臨時技術委員会報告
SMESの実用化・導入ロードマップ作成についてIEA Energy Technology PolicyDivisionの稲毛真一氏と討議するために、臨時技術委員会を平成20年12月5日に電力中央研究所大手町本部で開催しました。 稲毛氏は、地球温暖化対策としてG8で確認された2050年までにCO2を50%削減するために必要な技術開発ロードマップ作成を担当されています。CO2を50%削減するためには、再生可能エネルギー(主として風力)の有効利用が鍵となりますが、これら再生可能エネルギーの導入には電力貯蔵装置の実用化が必須です。 IEAの見積もりでは、500 GW(現状100GW+400 GW)の電力貯蔵装置を実用化・導入する必要があると想定されており、そのシナリオとロードマップを作成することが現在緊急の作業になっています。稲毛氏は、電力貯蔵装置として、揚水発電、圧縮空気電力貯蔵(CAES)、NAS電池、リチウムイオン電池、SMES等を取り上げ、2050年までにどの程度の容量を、どのように導入できるかのロードマップの検討をされています。SMESの技術展望を検討するにあたり、当研究会に問い合わせがありました。 会議では、まず稲毛氏によるCO250%削減のためのエネルギー問題や技術開発のIEAの見通し、2050年までのSMES導入ロードマップを現状技術ベースシナリオ、ブレークスルーシナリオ程度に分けた評価をしたい旨の説明がありました。その後、研究会メンバーの参加者との間で活発な議論が行われ、研究会が行ってきた20年間のSMESに関する研究を基にロードマップ作成の作業を積極的に進めることになりました。 最終報告はIEAのエネルギー技術展望2010(Energy Technology Perspective2010)として出されるとのことですが、2009年4月にパリで予定されている第1回ワークショップで最初の作業報告をすることになります。
第20回超電導電力貯蔵研究発表会
当研究会による「第20回超電導電力貯蔵研究発表会」が、平成20年7月11日(金)、東海大学校友会館で開催されました。大学・研究機関、企業からの専門家約70名が参加し、活発な討論が行われました。 特別講演は(財)鉄道総合技術研究所会長の正田英介先生により「Nega-watt Management」と題して行われました。巨大電力供給設備を意味する"Mega-watt"に対応して、"Nega-watt"はRocky Mountain InstituteのAmory Lovins氏が作った造語で、「節電所」という意味だそうです。エネルギー問題を原子力発電所などを建設して解決するという従来の行き方を"Hard energy path"としたら、分散型電源や自然エネルギーを組み合わせて持続可能な社会を実現する行き方("Soft energy path")もあることをLovins氏が提言しました。現在のようにライフラインに対する高い信頼度が求められる社会には"Soft energy path"が適しており、小規模なエネルギーネットワークを形成するマイクログリッドが注目されています。地域ネットワーク内の様々なエネルギー供給源と負荷変動全体を効率よく制御して省エネルギーをはかることが必要であり、このエネルギーネットワークを「節電所"Nega-watt"」という概念でとらえることができる、という趣旨で、清水建設技術研究所で行われているマイクログリッド実験等を例に大変興味深いご説明をされました。 特別講演に先立って、研究会の活動報告が行われました。まず、技術委員長である電力中央研究所秋田調氏から、「SMES研究会における平成19年度の研究成果」と題して昨年度の研究活動の概要説明後、引き続き個々の研究成果について報告がありました。 東京工業大学野村新一先生からは、「エネルギー貯蔵用超電導電磁力平衡コイルの実証モデル開発」と題して、今年の機関誌の表紙にもなっている電磁力平衡コイルの開発について報告がありました。ドーナツ型の巻枠に超電導線を螺旋状に巻いたヘリカルコイルをSMESとして用いることで、従来コイルに比べて支持材料を半減できるとのことです。 大阪大学伊瀬敏史先生からは、「直流接続SMESによるJ-PARC電源変動補償-縮小モデル装置による特性検証と電気二重層キャパシタとの特性比較-」と題して、J-PARC計画における50 GeVシンクロトロンの電力負荷平準化用SMESの設計検討について報告がありました。電流1/100、電圧1/50の縮小モデル装置を作成し、実験した結果、直流接続SMESをい含む構成の電源により、安定して Bending Magnetの充放電制御が行われることを確認しました。また、SMESのかわりに電気二重層キャパシタを同様に直流接続した方式についても検討を行った結果、SMESの場合と同様に安定した充放電制御が行われることを確認しましたが、こちらの場合は定格電流の制約により並列数が単にエネルギー量のみから計算した場合よりも大きくなることが分かりました。 特別講演、研究発表会が終了した後、懇親会が行われました。
第19回超電導電力貯蔵研究発表会
当研究会による「第19回超電導電力貯蔵研究発表会」が、平成19年6月21日(木)、東海大学校友会館で開催されました。大学・研究機関、企業からの専門家約60名が参加し、活発な討論が行われました。 九州工業大学松本要先生による「高温超伝導材料の高性能化と電力エネルギー貯蔵」と題した特別講演が行われました。1986年に高温超電導材料が発見されましたが、この材料の物理現象や特性などについて平易に説明されました。近年開発が進んだBi系とY系の高温超電導材料の開発状況と各種電力機器への適用可能性について解説がありました。Bi系とY系で、夫々の特長を生かした利用方法が進むであろうこと、今後の開発によって特性がより向上し、製造方法の改善により線材価格が適正規模になるであろうこと、将来の電力機器にとって期待できる材料であることなどの興味深い説明がありました。
特別講演に先立って、研究会の活動報告が行われました。まず、技術委員長である電力中央研究所秋田調氏から、「SMES研究会における平成18年度の研究成果」と題して昨年度の研究活動の概要説明後、引き続き個々の研究成果について報告がありました。 東京大学馬場旬平先生からは、「マイクログリッド開発」と題して、我国のマイクログリッド開発状況について、清水建設が独自に進めているマイクログリッド・プラント開発研究を軸に報告されました。マイクログリッドの開発研究は、愛知、八戸、京都などの国プロによるものも進められていますが、自然エネルギーとの共存、電力高品質の確保、非常時における安定電力の供給や発展途上国における未電化地域対策などへの応用に期待ができるとのことです。 日本大学新冨孝和先生からは、「大強度陽子加速器計画(J-PARC)とSMES」と題して、日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構が共同で建設を進めているJ-PARC計画における50 GeVシンクロトロンの電力負荷平準化用SMESの設計検討について報告がありました。II期計画でシンクロトロンのエネルギー増強を行った際に必要なパルス電力が大きくなり、電力系統への悪影響を防ぐための変動電力補償装置が必要で、SMESの導入実現を期待したいものです。 このSMESによる変動電力補償効果を知るために、シミュレーションと実験による研究成果について、大阪大学伊瀬敏史先生は「J-PARC主リング電源変動補償」と題して報告を行いました。伊瀬先生の提案による新しい変動補償法は、SMESを直流側(負荷側)に分散接続するものであり、必要な変換器を簡略化でき、経済的です。一方、シンクロトロン電源は100ppm以下の制御精度を要求されるのですが、変動補償、制御精度ともにこの方式の有効性が分かりました。
特別講演、研究発表会が終了した後、懇親会が行われました。
第二回人材交流プログラム「古河電工日光事業所 超電導工場」
古河電工日光事業所は、明治39年創立した当時の古河鉱業(株)日光電気精銅所が発祥で、昨年創立100周年を迎えた国内でも有数の歴史ある工場である。事業所内には、鋳造工場や条工場、線棒工場などがあり、伸銅品の溶解鋳造から製品に至るまでの工程が一貫した総合非鉄金属加工工場である。他にも、メタル総合研究所や架空送電線および変電所母線に関する研究・開発部門がある。 この日光事業所にある超電導工場では、主として商業用のNb-TiやNb3Sn線材が製造され、これら金属系超電導線材は、MRIやNMR、半導体引き上げ装置などで広く利用されている。同社ではこうした用途のほか、欧州合同原子核研究機関の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で使用している超電導成形撚線を国内メーカーで唯一供給したほか、国際熱核融合実験炉(ITER)への参画を目指した開発も進められているなど、活発な取組みが行われている。特にNMR用のNb3Sn線材においては世界のトップシェアを競っているとのことで、有数の超電導線材メーカーであると言える。 超電導工場で製造している多芯の超電導線材は、単芯ビレット組立→押出し・伸線→切断→多芯ビレット組立→押出し・伸線という2段階の押出し・伸線工程を経て製造されている。今回はそのうち主に多芯ビレットの組立工程と伸線工程を見ることができた。多芯ビレットの組立は手作業で行われており、中空の銅ビレットに超電導素線を1本1本隙間なく敷き詰めていく工程は、まさに職人技の領域である。また、製造工程で特に重要となるのが異物の除去である。これは、半径10数センチのビレットを半径数ミリまたはそれ以下まで引き伸ばす過程では、最初のビレットの段階ではごく小さかった異物が、最終の超電導線材では無視できないほどの大きさとなるためである。 ビレットの組立が手作業で行われている点は驚きでもあったが、ひとつのビレットから数10kmの線材が製造できるということで、現状ではこの方法で十分なのだと思われる。裏を返せば、今後超電導線材の需要が拡大して製造工程の自動化が進んだ場合には、線材の製造コストはさらに削減できる可能性があるということかもしれない。SMESをはじめとした超電導線材の普及が望まれるところである。
第二回人材交流プログラム「古河日光発電細尾発電所と10MW/20MJ級国プロSMES」
細尾発電所は、明治10年に開発が始まった足尾銅山の発展とともに増大した電力需要を充たすため、明治39年に創業した細尾第一発電所がその由来である。発電所では中禅寺湖周辺から常時湧き出る豊富な湧水に加えて華厳の滝を流れた放流水を利用して最大1万5,700kWの発電が可能で、古河電工日光事業所をはじめ古河機械金属(株)足尾事業所など、近隣の古河グループ各事業所へ電力供給が行われている。また、日光から山ひとつ隔てた足尾地域においては託送業務も行っているとのことであった。細尾発電所では、7,500kVAペルトン式水車(富士電機製、昭和27年製造)、14,500kVAフランシス式水車(同、昭和37年製造)が共に現役で活動中であるほか、昭和初期から中期の設備が保存されており、日本の技術史的な視点からも興味深い場所であった。 平成3年から始まったSMES国プロは、現在第3フェーズとして、SMES実用化に向けた低コスト変換システム、電流リードシステム、酸化物系コイルなどの要素技術開発と、実系統連系試験を通したシステムコーディネーション技術開発が並行して行われている。本年度はこの第3フェーズ(平成16年度〜平成19年度)の最終年にあたる。細尾発電所内に建設されたSMES試験棟では、すでにSMES本体や電力変換システムなどの周辺設備の据付がほぼ終わっており、見学時にはクライオスタットの冷却や各種試験調整が行われているところであった。この国プロSMESは、コイルに金属系(Nb-Ti)線材、冷却方式としては浸漬冷却方式が採用されている。将来の100MW級SMESを念頭に、低コスト大容量電力変換システムや、GM冷凍機およびGM-JT冷凍機のほかに300W/77Kという大型のスターリング冷凍機を用いている点が特徴的である。GM冷凍機とGM-JT冷凍機がコイルや電流リードを冷却するのに対し、スターリング冷凍機はヘリウム循環装置のシールド容器の冷却という役割を担っている。これにより、SMESトータルシステムとしての低コスト化と実地での実系統連系の実現を目指している。 6月中に単体での試験調整、7月いっぱいで装置の組合せ試験を終える予定で、8月から11月までの4ヶ月間でフィールド試験が行われる予定である。なお、国プロが終了する次年度以降の扱いについては、まだ検討中であるとのことであった。実証試験の成功と実証期間後も引き続きこのSMESが有効に活用されることを期待したい。
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