
平成23年度第1回拡大技術委員会開催報告
11月26日にタワーホール船堀で拡大技術委員会を開催しました。 今回は,24〜26日にかけて開催されたISS2011(24th International Symposium Superconductivity)に参加されていたLiye Xiao先生(中国科学院電工研究所所長)とAntonio Morandi先生(イタリアBologna大学)にご講演をいただきました。 Xiao先生のご講演は,「中国における超電導電力機器開発の現状」と題し,経済的に急速に発展している中国において今後のエネルギー問題,特に電力エネルギーの急速な伸びに対してどのように対応していくか,またそのための超電導電力応用技術をどうとらえていくかについて興味ある内容でした。中国のエネルギー源は北部と西部に偏在しており,一方需要は南部と東部に集中しているので,今後電力系統を直流送電網で結ぶ必要があり,また系統を安定化する必要から,電力ケーブル,貯蔵装置,限流器に超電導技術を生かしていくことが重要であると説明されました。技術開発として,電力ケーブル,限流器,変圧器,SMESを一体化したモデルシステムを実系統に接続し,試験をされているとのことで,極めて意欲的に計画を進められているのが印象的でした。 Morandi先生のご講演は,「イタリアにおける応用超電導研究開発の現状」と題し,超電導限流器の開発に際して,特に設置箇所により限流器の効果がどのように効いてくるか詳細な検討結果の報告があり,超電導限流器の重要性が説明されました。また,Bologna大学を初め,MgB2線材メーカ,超電導機器開発メーカなどの各機関の活動が報告されました。その中で,Bologna大学で研究されている燃料電池自動車に車載する高温超電導SMES(貯蔵エネルギー200 kJ)の紹介がありました。燃料電池自動車用液体水素タンクの中に入れられるよう10 Tの磁場でコンパクトなトロイド型SMESの概念設計で,車のホイール位の大きさにすることができるとのことでした。 エネルギー問題と地球環境の保全のために,超電導電力応用技術の重要性が今後とも認識されていくように思いました。
第23回超電導電力貯蔵研究発表会
「第23回超電導電力貯蔵研究発表会」が、平成23年10月6日(木)、東海大学校友会館で開催されました。大学、研究機関、企業からの専門家約80名が参加し、活発な討論が行われました。 今回の特別講演では、株式会社日立製作所の稲毛真一先生をお招きし、「低炭素電力系統における電力貯蔵の役割」と題して講演していただきました。稲毛先生は2008〜2009年の間、IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)に出向され、再生可能エネルギー及び電力貯蔵に関するロードマップの作成に従事され、現在は、日立製作所に戻られて新エネルギーに関する研究に従事しておられます。 まず会長、理事長の挨拶の後、技術研究発表として事務局長の新冨孝和より平成22年度の研究報告の概要が紹介されました。電力周波数変換所の系統連系にSMESを利用するという「大規模SMESの実現をめざした超電コイルと電源システムの可能性研究」や、再生可能エネルギーの出力変動に合わせて、家庭内のエアコン、冷蔵庫のON・OFF制御を行い、系統に流れる変動を緩和する「電力双方向制御」、また、平成22年6月に横浜で開催された「電力貯蔵に関する日米ワークショップの概要」について紹介されました。 次に、研究成果の中から、大阪大学の伊瀬敏史先生より「直流側にSMESを含む非同期連系による系統連系強化」について発表されました。これは、一方に発生する系統擾乱を他方の系統に伝えないために直流を介して非同期連系し、直流側にSMESを置くことで電力変動の吸収も可能とするというものです。SMESを具備した他励式および自励式非同期連系の主回路と制御方式に関する検討を行い、シミュレーションにより効果を検証した結果について報告されました。 続いて、東北大学の濱島高太郎先生より「SMESを用いた再生可能エネルギー有効利用のための先進超電導電力変換システム」について発表されました。発表では、再生可能エネルギーの変動分のうち、短周期分をSMESで、長周期分を電気分解(液体水素貯蔵)+燃料電池で吸収する手法が提案されました。また、SMESには液体水素で冷却可能なMgB2を採用すること、カルマンフィルタを用いて出力変動を予測することなどの研究成果が紹介されました。 その後の稲毛先生の特別講演では、IEAで作成されたロードマップの内容を中心に、まず、「2050年までの系統の予測」として再生可能エネルギー大規模導入の影響とスマートグリッド導入のメリットについて、続いて再生可能エネルギーの均し効果による出力変動低減について紹介されました。 大規模に再生可能エネルギーが導入されると出力変動により周波数変動が発生しますが、これを調整する火力発電の割合が再生可能エネルギーの導入に伴い減少するため、出力調整代の不足が懸念されます。このため、再生可能エネルギーを大量に導入するためには火力調整代の代替として電力貯蔵が必要とのことで、この必要量をシミュレーションで求めた結果について紹介されました。これによれば、2050年までに太陽光と風力の割合を30%とした場合に必要となる電力貯蔵容量は189〜305GWとのことでした。 この解決に期待される技術として、電気自動車の電池を活用するV2G(Vehicle to Grid)と呼ばれるスマートグリッド技術について紹介されました。これは需要ピーク時に電気自動車を電力貯蔵設備として使用して需要の最大・最小差を緩和するロードシフティングを行うことにより電力貯蔵容量の必要量を低減することを期待したものです。シミュレーションの結果では、V2Gを導入することにより2050年における電力貯蔵容量の必要量を60GW低減できるとのことでした。また、Weibull分布を用いて風力発電出力の均し効果を評価した結果について紹介され、再生可能エネルギーの出力変動低減に均し効果を如何に活用するかがキーとのことでした。最後に、スマートグリッド導入により再生可能エネルギーの有効活用が期待できるのでは、とのお話で講演は締めくくられました。 懇親会では、稲毛先生もご一緒に、超電導発見100周年の歴史ある話や、近年のSMESの実用化の進展の話などをつまみに、各方面の専門家の間で懇親を深めました。
平成23年見学会・会員交流会記
平成23年6月16日(木)、見学会が東芝セミコンダクター社四日市工場でおいて開催されました。あいにくの雨天でしたが、13名の参加がありました。 冒頭、工場の方々から歓迎のご挨拶をいただいた後、工場概要のご紹介がありました。工場は1992年の発足以来およそ20年、クリーンルーム棟を次々に建設して規模を拡大し、現在では第5クリーンルーム棟の第1期工事が完了した段階とのことです(http://toshiba-yokkaichi.jp/)。現在の製品はNANDフラッシュを中核としたメモリ半導体製品で、このNAND型フラッシュメモリは東芝で発明されたものだそうです(http://www.semicon.toshiba.co.jp/product/memory/selection/nand/index.html)。 見学は2班に分かれて行われました。展示コーナーや見学ブースではメモリ半導体の詳しいご説明をいただき、クリーンルームではリニアモータ搬送装置を用いたスピーディかつクリーンな製品搬送の様子を実地に見ることができました。その後、最新のクリーンルーム棟(5棟)の下に設置された免震装置を見学しました(http://toshiba-yokkaichi.jp/accident_prevention/index.html)。積層ゴムを利用した免震装置により、震度6の地震なら揺れを震度3〜4程度に低減できるとのことです。ちなみにこの工事はSMES研究会会員企業の清水建設で行われたそうです。以前SMES研究会見学会で清水建設の技術研究所を訪問した際に見た免震装置が実際に使われている現場を見ることができました。 見学の最後に今回の見学の主題であるSMES本体をご案内いただきました。今後SMESを増設する可能性があるとのことで、広い建屋の中に1基だけSMESが設置されていました。建屋との対比のせいもあってか、非常にコンパクトな印象を受けました。また、以前古河日光発電細尾発電所で実験していたSMESと比較すると、コイル部分は同様であるものの、使用条件の違いで冷凍負荷が小さいため、冷凍機が小さく、高圧ガス保安法には抵触しないそうです。ユーザ側にとって非常に使い勝手の良い装置になったというわけでしょう。見学後は名古屋駅付近で懇親会が行われました。 最後になりましたが、見学会開催にあたり多大なご尽力をいただきました東芝セミコンダクター社および東芝電力システム社の皆様に感謝申し上げます。
平成22年度見学会・会員交流会
平成22年11月4日(木)〜11月5日(金)、見学会・会員交流会が(独)産業技術総合研究所(産総研)つくばセンターおよびつくば市内において開催されました。11月4日には拡大技術委員会も開催され、秋晴れの好天の中、総勢22名の参加者の方々と和気あいあいとした交流をはかることができました。 4日の拡大技術委員会では、韓国CAST社(Center for Applied Superconductivity Technology, KERI)のYoung-Sik Jo博士をお招きし、韓国での超電導応用の現状について紹介をしていただきました。2001年より進められているDAPASプログラム(Development of Advanced Power System by Applied Superconductivity Technologies)では、超電導ケーブル、変圧器、限流器、モータ、2Gワイヤ(第2世代線材)が開発されており、最新の成果を分かりやすく解説していただきました。また、韓国では、唯一の電力会社であるKEPCO(Korean Electric Power Corporation)が超電導技術を積極的に導入することを検討しているようで、実系統を用いた各種試験が実施、あるいは計画されているとのことで、電力応用で大変活発な研究が行われていることが分かりました。 5日の見学会では、産総研樋口さまのご尽力により、つくばセンター内で行われている「分散型エネルギー実証研究」設備と、産総研内スーパークリーンルーム用のUPS(無停電電源装置)として実用されているSMESを見学させていただきました。分散型エネルギー実証研究では、1 MWの太陽光発電、NaS電池(2 MW×7 h)、レドックスフロー電池(170 kW×7 h)などが設置されており、省エネルギーとCO2排出削減、電力負荷平準化や契約電力抑制効果などが検証されているとのことでした。SMESは、出力および補償時間が4 MVA – 0.5秒、または、2 MVA – 1秒で、スーパークリーンルームの瞬時電圧低下補償として実際に使用されている設備です。国内で商用として使用されている唯一のSMESではないかとのことです。直径数m、高さ2 mほどの円筒形の大きさのSMESは常時励磁されており、本体付近は5 mTの磁場があり、近づけないようになっています。室内は静かでGM冷凍機の動作音がわずかに聞こえる程度です。95%以下の瞬時電圧低下時に動作するように設定されていて、これまでに数日に1回程度の割合で動作しており、多い時期(7月)では1日4回程度動作したことがあるそうです。見学させていただいたSMESは(試験ではなく)純粋に商用ベースで導入されたということで、SMESも一般的に使用され始めたのだと感慨深く思いました。 最後になりましたが、見学会開催にあたり多大なご協力をいただいた樋口さまをはじめとする産総研つくばセンターの皆さまに感謝申しあげます。
Figure Captions
Fig. 1. Young-Sik Jo博士による講演 Fig. 2. NaS電池(産総研つくばセンター) Fig. 3. 4MVA-SMES(産総研つくばセンター)
超電導電力貯蔵研究発表会特別講演
特別講演は「遠未来の世界エネルギー事情の予測と超電導応用への期待」と題して、東京大学 大学院工学系研究科 応用化学専攻・准教授の下山 淳一先生より講演がありました。近未来ではなく、遠未来(2050年)に世界はどうなってしまうのか?という興味深いお話でした。人口の爆発、社会の高度化は止められず、ほっておいても50年後か100年後かには世界の国は全て先進国になってしまうので、これから30年間が一番大事であるとのことで、今まじめに対策を考えておかないと、現在の技術者は後世の人々から指弾されてしまうという厳しいご指摘がありました。世界人口は2050年には90億を超えるものの、人口増加は開発途上国が主であり、これらの国々で教育を広めることが人口抑制につながるそうです。今後、一人あたりのエネルギー消費率は増え、かつ人口も増えるため、状況は深刻です。2050年に日本並みの発電が世界で行われるとすると世界の総発電量は6倍にもなります。エネルギー消費が増えるのは主にアジアやアフリカなので、考えなければならない電力網は現在の先進国ではなく、開発途上国のものとなります。先生のお話は発電方法の変更にまで及びました。2006年の世界総発電量は2万テラワットアワー、内、火力発電が6割、2050年に総発電量が6倍になるとすると、12万テラワットアワー必要になります。CO2削減のために火力発電をゼロにすると、水力発電を除く原子力発電と自然エネルギーだけで10万テラワットアワーを作る必要が有るとのことです。これを原子力発電だけに頼ると約30倍の新規設備が必要となってかなり厳しく、ソーラー、地熱、風力等の自然エネルギーをだけに頼るとすると、今の1万倍の設備が必要ですが、あり得ない話では無いそうです。ただ、電力が不安定な点も考えると現実的ではなく、大規模な蓄電設備が必要で、SMESも候補ですが、もっと大きな規模が必要かもしれないとのお話しでした。直流超電導と太陽電池のパネルを組み合わせて世界中を網羅しようというジェネシス計画は理想ではあるがなかなか難しいとのことで、先生のお考えでは、中国やインドなどの人口密集地にいかに安定した電気を送るかということを優先させ、砂漠毎に発電所を置いて、超電導送電網でつなげば、細かいグリッドでなくても電力平準化が可能とのことでした。具体的には2040年位までに直流超電導送電ケーブルで中国縦断電力幹線やインド横断電力幹線を通すのが現実的とのことでした。 最後に超電導応用の遠未来を開くために、関係学協会や有識者は、もっとメリットや信頼性を強くアピールしていかなければならないという事を強調されました。そのためには政策・経営サイド、大衆に対する啓蒙活動が必要で、技術をわかりやすく見せられる物を作るという手段もあり、そのような役割をSMES研究会が担えば、超電導の未来も明るいというお話しで締めくくられました。その後、活発な質疑があり、仁田理事長からも、「発電量が伸びていくとCO2を出すということであったが、電化することによって(効率が良くなるので)CO2を減らしている部分があることを勘定に入れてもらわないと電気屋としてはつらい。」というようなコメントもありました。
IEA エネルギー貯蔵委員会Dr. Wille氏、Dr. Hauer氏を迎えて拡大技術委員会を開催
IEA(International Energy Agency)エネルギー貯蔵委員会(ECES)委員長Dr. Astrid Wille氏、同幹事Dr. Andreas Hauer氏をお迎えして、拡大技術委員会を平成21年11月17日に中国電力(株)東京支社において開催しました。両氏からヨーロッパにおけるエネルギー貯蔵の現状と将来展望について講演いただき、その後、SMES研究会の活動状況と、最近の研究成果としてIEAよりご依頼いただいて検討を行った「電力補償用SMESの技術評価とコスト評価」について紹介し、その後情報交換を行いました。 Dr. Wille氏には、ドイツのCO2削減目標「2050年に2005年の50%削減」の達成に向けてエネルギー貯蔵の果たす役割について将来展望を含め幅広く紹介していただきました。ドイツでは、CO2の回収貯留(CCS)、再生可能エネルギーの利用、エネルギー利用の効率化の3つの方策により重点的にCO2削減に取り組まれており、電力貯蔵と熱貯蔵を使った効率的なエネルギー貯蔵・利用技術を提案していきたいとのことでした。 Dr. Hauer氏には、熱貯蔵技術について、特に、貯蔵した熱の利用先として食器洗浄機、冷蔵庫等、家庭の熱需要を適用するアイデアを紹介していただきました。エネルギー貯蔵では、貯蔵前後のエネルギー形態が同じ場合では、貯蔵に伴うエネルギー形態の変化が少ない熱貯蔵の方が電気貯蔵よりロスが小さいということで、熱のまま使用できる利用先を考えれば非常に有望であるとのことでした。 意見交換ではSMESの魅力について話題となり、SMESは貯蔵ロスが小さいことが最大の魅力だが、現時点でコストが高いことが大きなネックである、とのことでした。今回、エネルギー貯蔵について大変有意義な議論を持つことができましたが、今後とも、IEAエネルギー貯蔵委員会とSMES研究会では、熱貯蔵、電力貯蔵など幅広い分野について情報交換をしていくこととなりました。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― Fig.1 A. Wille博士による講演 Fig.2 A. Hauer博士による講演 Fig.3 東工大野村新一博士によるSMESロードマップの講演 (写真をクリックすると大きく表示します)
国際会議MT21で成果報告
第21回国際磁石技術会議(MT21)が,10月18日から23日にかけて中国合肥市(Hefei:上海から約500km西に位置する500万都市)で開催されました。Hefeiは10〜12世紀頃に包(Bao)一族が支配していた地域にある古い街です。 会議場は旧市街から10kmほど離れた新市街地にあるコンファレンスセンターでした。この会議では超電導磁石だけでなくあらゆる磁石技術について討論されます。今回は世界各国から約700名の参加があり,研究発表と活発な討論が行われました。午前9時から基調講演が行われ,その後午前と午後に口頭発表,ポスター発表が行われました。会議中日のテクニカルツアーでは,数年前に完成したプラズマ研究所の超電導トカマクを見学しました。 この会議で,東京工業大学野村新一博士が招待講演として,IEAから依頼された電力用SMESのロードマップについて報告しました(写真1)。詳細は平成20年度の技術報告書にありますが,技術的・経済的な検討結果が野村博士の明快な語り口で報告されました(写真2)。発表後,欧州などの研究者から議論や論文請求があり,関心が寄せられています。 一方,KEK佐藤皓教授等による医療用加速器のパルス電力補償用SMESについての研究成果もポスターセッションで報告されました(写真3)。これについても,ジュネーブで稼働し始めた大型加速器LHCの入射器の電力補償への応用可能性として関心が寄せられています。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――― Fig. 1 野村新一博士によるSMESロードマップの研究成果報告(招待講演)。 Fig. 2 IEA依頼により作成した電力用SMES開発のロードマップ。 Fig. 3 ポスターセッション会場風景。周りは参加企業の展示場になっている。 (写真をクリックすると大きく表示します)
仁田理事長が電気学会の功績賞を受賞
当研究会の理事長仁田旦三先生が(社)電気学会から功績賞を受賞されました。受賞理由は「超電導工学・電力機器技術の発展と学会活動の活性化・国際化に関する貢献」で、先生のこれまでの超電導技術の電力機器への応用に関するご研究や、電気学会会長としての学会活性化と国際化に関する業績が認められました。
第21回超電導電力貯蔵研究発表会
当研究会による「第21回超電導電力貯蔵研究発表会」が、平成21年7月3日(金)、東海大学校友会館で開催されました。大学・研究機関、企業からの専門家約70名が参加し、活発な討論が行われました。 今回の特別講演は大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所元所長で、現在は顧問、名誉教授を務めておられる本島修先生による「超伝導技術によってここまで進んだ核融合エネルギー研究」と題して行われました。本島先生はLarge Helical Device (LHD) による核融合プラズマ生成を推進してきた第1人者です。 まず会長、理事長の挨拶の後、研究発表会として発表が行われました。技術委員長の秋田調より平成20年度の研究報告概要が紹介されました。研究成果の中から特に2件を選択し、東京工業大学の野村新一先生より「IEAからの依頼によるSMESロードマップの作成」と題して発表が行われました。これはIEA (International Energy Agency: 国際エネルギー機関)で検討中の2050年におけるCO2排出量を半減させるシナリオに対して、再生可能エネルギー大量導入時に対応するため電力貯蔵装置の容量を現行の100GWから500GWにするという目標を立てています。この目標を実現するための2010年度版地球温暖化対策ロードマップ作成にあたり、IEAから当研究会にSMESの技術調査の依頼が平成20年12月にありました。これを受けてSMESの適応領域、大型超電導コイルの開発実績、コスト評価、大規模SMES開発ロードマップの作成を行った結果が発表されました。 続いて、「医療用加速器へのエネルギー貯蔵装置」と題して、筑波技術大学の佐藤皓先生より発表がありました。ガン治療の新しい手段として放射線よりも副作用が少なく強力な治療が行える粒子線パルスを印加する小型シンクロトロン用の電力変動補償用SMESについて報告されました。 その後の本島先生の特別講演では、土岐市の核融合科学研究所でLHDを設計、試作し、1億℃のプラズマを得るまでのご苦労や困難を乗り越えてきたお話しをしていただきました。その中で、トランジスタ開発でムーアの法則と呼ばれる2年ごとに集積密度が倍になるという法則に対して、核融合研究は3年ごとに倍になっているというお話しがあり、27年後の核融合発電は夢ではなく現実の目標だとのことでした。最後に過去100年間の地磁気の現象が今後も続けば1000年後には地磁気が無くなってしまうという報告をご紹介されました。これは過去数十万年単位で地磁気の向きが反転してきたことからも現実にあり得る話で、その対策として地球の緯線方向に超電導線でコイルを巻き人工的に地磁気を発生させるという雄大な構想をご紹介いただきました。これにより地磁気を発生させると共に、送電線として用いることにより地球内での負荷平準化、エネルギー貯蔵コイルとしても使用できるとの大きな夢です。最後に重水素ガスの使用が可能になると、LHDを用いて3年後には300Wの電力を取り出し、世界初の核融合による電球点灯が可能になるというお話しで締めくくられました。 懇親会では、本島先生もご一緒に超電導を使った将来の夢の話や、現実の超電導電力貯蔵装置の話などをつまみに、各方面の専門家の間で懇親を深めました。
平成20年度見学会
平成21年4月23日(木)〜24日(金)、拡大技術委員会、会員交流会を兼ねた見学会が執り行われました。総勢12名の参加があり、見学会では北杜市のメガソーラ施設を見てきました。雄大な八ケ岳連峰を近くに望む広々とした原野に、NEDOの大規模太陽光発電の実証試験研究施設として総出力2MW級の太陽光発電設備が敷設されています。各メーカーの各種方式のソーラパネルが設置され、性能・耐久試験が行われていて、(株)NTTファシリティーズ岩戸様の明快な説明と専門的な質疑のもと大変興味深く見学しました。我国の太陽光パネル製作技術は世界一だと思っていますが、設置容量はドイツに後れを取っています。今や自然エネルギーの有効利用は地球環境にとって必要不可欠です。自然エネルギーの導入に伴い電力の安定供給のためには優れた電力貯蔵装置の開発が望まれますが、SMESは極めて有望な手段の一つです。見学会の詳しい報告は、6月発行予定の機関誌に掲載されます。 なお、前日に行われた会員交流会では、和気あいあいの内に情報交換が行われました。
|
|