「水素社会構築に向けた液体水素利用シンポジウム」のご案内
開催概要

日程:2017年11月14日(火)
場所:東京大学 武田先端知ビル 武田ホール
   〒113-0032 東京都文京区弥生2-11-16

講演テーマ
1:宇宙輸送機の研究と水素社会構築との接点
2:超電導応用による水素社会構築の新たな展開
3:再生可能エネルギー社会における液化水素の貢献

プログラム詳細はhttp://www.isas.jaxa.jp/researchers/symposium/others/hydrogen201711.html
をご覧下さい。

問い合わせ先
水素社会構築に向けた液体水素利用シンポジウム
世話人 小林弘明
E-mail:kobayashi.hiroaki@jaxa.jp

その他
事前の参加登録は不要です。当日講演会場にて御記帳ください。
講演終了後、18時〜20時に、同会場にて懇親会を予定しております。是非ご参加ください。

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(公財)鉄道総合技術研究所 「電力技術交流会」 のご案内
日 時  2017年(平成29年)10月27日(金) 14:30〜17:55(12:45受付開始)

     ※これに先立ち実験設備見学会を行います(13:15〜14:15)
場 所  (公財)鉄道総合技術研究所 国立研究所
参加費  無料(お名刺を2枚準備願います)
申込方法 ページ上部の「参加申込み」のボタンを押して参加申込みフォームから申し込んで下さい。
申込締切 2017年(平成29年)10月20日(金)

プログラム詳細は
http://www.rtri.or.jp/sales/gijutu/171027.html
をご覧下さい。

※準備の都合上、2017年10月20日(金)までにお申し込み願います。
※定員になり次第締め切りとさせていただきますので、お早めにお申し込み下さいますよう、お願い申し上げます。
※お問い合わせ先
 (公財)鉄道総合技術研究所
 事業推進部 営業  遠藤
 TEL:042-573-7232 (NTT) / 053-7232 (JR)
 FAX:042-573-7231 (NTT) / 053-7231 (JR)
 E-mail:koryukai@rtri.or.jp


第29回超電導電力貯蔵研究発表会開催
 第29回超電導電力貯蔵研究発表会が7月6日(木)に昨年に引き続き学士会館で開催されました。企業,大学,研究機関から53名の参加者がありました。
 理事長仁田旦三先生の挨拶で始まり,秋田調技術委員長(電力中央研究所)から平成28年度の技術委員会活動について報告がありました。技術委員会が4回開催され,エネルギー貯蔵技術におけるSMESの得失について検討してきたことが報告されました。また,自由な立場で議論ができることを活用して,平成29年度には,エネルギー貯蔵技術の開発状況,SMESの得失と各種エネルギー貯蔵技術の優位性について調査研究する予定であることが述べられました。
 続いて,広報委員長長嶋賢氏(鉄道総合技術研究所)から,「超電導フライホイール蓄電システムの開発経緯と鉄道への応用展開」と題して,超電導磁気軸受けを用いて直径2m、重量4トンの大型のフライホイールを非接触で浮上、3000 rpmで回転させて25kWhのエネルギーを蓄積したという開発結果が報告されました。この超電導磁気軸受を組み込んだフライホイール蓄電システム実証機は,山梨県米倉山太陽光発電施設と連系運転して、日照条件に左右され発電電力が不安定な太陽光発電の電力平滑化(系統安定化)に効果があることも実証されたそうです。鉄道総研では、今後、鉄道システムの回生失効対策等に役立つ鉄道用超電導フライホイール蓄電システムの実用化に向けた設計・検討を進めていく予定であることが報告されました。
 福地正典氏(日本ケミコン)から,「キャパシタ技術動向とその応用」と題した報告がありました。エネルギー貯蔵技術の一つであるキャパシタの技術開発状況の中で,キャパシタと二次電池との比較,キャパシタの応用において小型用途から風力発電安定化や瞬低対策用などの大型用途への拡がりなどが紹介されました。最近では建設機械や車載用などへ用途が広がってきているとのこと,車載用の用途開発で地球温暖化対策にも寄与していることなどが紹介されました。さらに,新しい材料を用いて高容量化,高電圧化,低抵抗化,高温度化された進化したキャパシタ開発がされていることなどの紹介がありました。
 豊田充氏(東芝)から,「IEC TC120(電気エネルギー貯蔵システム)における規格化動向」と題した報告がありました。地球温暖化対策,エネルギー安全,エネルギー源確保,脱原発,再生可能エネルギー開発の加速化などから,電気エネルギー貯蔵システム(電力系統から充電し,電力系統に放電するものが対象)全体を扱い,電力系統接続点を論点に規格化していくシステムが必要であり,2013年に日本が幹事国,ドイツが議長国となりTC120が設立されました。その活動状況において,電気エネルギー貯蔵の役割,種類と特長,市場状況,市場予測など特定のものにかかわらず一般的なシステムとして,また市場ニーズの高いシステムを総合的な見地から検討をしていくことが報告されました。
 特別講演では岩田佳之先生(放射線医学総合研究所)から「重粒子線がん治療装置の研究開発」と題した講演がありました。我が国では2人に1人の割合でがんにかかり,3人に1人ががんで死亡する現状において,重粒子線によるがん治療の効果と必要性について報告されました。重粒子線を用いたがん治療では痛みがなく,深部にあるがん組織を狙った治療ができること,かなりの種類のがん治療に有効であることなどの紹介がありました。放医研にある我が国最初の重粒子線治療用加速器は,大型のものであり,建設費も高価であるので,小型化した普及型加速器が群馬大学他3箇所に稼働中であること,更に大阪,山形に近々運開予定することなどの報告の他,高速三次元スキャニング照射,可変ビームエネルギー取り出し,超電導ガントリーなどの最新の技術開発,小型化を目指す超電導シンクロトロン開発計画など大変興味ある紹介がありました。
 研究発表会の後に催された懇親会には50名ほどの参加があり,岩田先生の乾杯で開始され,研究発表会では得られない種々の情報交換がされました。



量研機構那珂核融合研究所訪問記
 2017年5月31日に国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構那珂核融合研究所に総勢29名で訪問させていただきました。那珂核融合研究所は、JR常磐線東海駅より車で10分程度の場所にあります。現在、那珂核融合研究所では、試験用核融合トカマク装置JT-60(臨界プラズマ試験装置)をJT-60SAに改修する工事を進めている最中です。この工事は、2013年より始まり、2020年に実験を開始する計画で進められており、今回は、組立工事期間の中間点を少し過ぎた段階での製作状況を見学させていただくことになりました。
 はじめに、那珂核融合研究所の方より、JT-60SAの概要や電源装置についてご説明いただいた後、トロイダル超電導コイル、組立中のJT-60SA本体、冷凍機、コイル用電源機器とフライホイール付電動発電機を見学させていただきました。以下に各装置を見学させていただいた概要を紹介します。

■トロイダル超電導コイル
 装置へ組み込む前の単体のトロイダル超電導コイルを見せていただきました。JT-60からJT-60SAへの最も大きな改造点は、コイルの超電導化だそうです。超電導導体に液体ヘリウムを圧送して冷却するタイプの線(CIC導体: Cable in Conduit導体)でコイルは巻かれているとのことで、その導体のサンプルも見せていただきました。世界最大級のトロイダルコイル(D型コイル)は、内部の幅4.6m・高さ7.5m、このトロイダルコイルを18個使用してドーナツ型に組み上げるそうです。設計どおりの磁場を作るためにコイル直線部の精度は±1.5mm以下で製作されているとのことです。
■組立中のJT-60SA本体
 JT-60SAはトカマク型の核融合試験装置であることから、真空容器やサーマルシールドはトロイダルコイルと同様にドーナツ型(円環形状)となっています。見学した時は、360度の真空容器及びサーマルシールドの340度分の設置が完了しており、残った20度の隙間からトロイダルコイルを挿入して、装置へ組み込む作業をしている段階でした。まさに組み立て中という様子がわかる、よいタイミングでJT-60SAの本体を見学させていただくことができました。
■冷凍機
 JT-60SAは、冷媒のヘリウムを冷やす冷凍機の冷凍能力も世界最大級で、4.5Kに換算した冷凍能力は9kWだそうです。JT-60SAから生じる脈流的な熱負荷を大量のヘリウムを使うことにより、熱負荷変動が冷凍機に伝わりにくくする設計としているために、このような大きな冷凍能力を必要とするとのことでした。JT-60SAの場合、冷却温度は、超電導コイル、サーマルシールドなど装置ごとに異なりますが、異なる温度の冷媒ヘリウムを供給しているそうです。
■コイル用電源機器とフライホイール付電動発電機
 JT-60SAは電源装置も大規模で、整流器棟と呼ばれる長さ100m以上あると思われる建物の中に設置されていました。実際に、整流器棟の中に案内していただき、超電導コイルの励磁電源、高電圧発生回路、クエンチ保護回路などを見学させていただきました。その後、発電機棟という建物中にある3台のフライホイール付電動発電機を見学させていただきました。3台とも大きな装置なのですが、最も大きなものは装置の直径が10m程度あり、見た目にも迫力があるものでした。JT-60用として製作された3台のうち、2台がJT-60SAに再利用されるそうです。

 将来の究極のエネルギー源として期待されている核融合ですが、JT-60SAでは、ITER(International Thermonuclear Experimental Reactor:国際熱核融合実験炉)の技術目標達成のための支援研究や原型炉に向けた補完研究として、ITERではできないような高圧力プラズマ運転などの実験を行い、原型炉を作るためのデータを取得していくとのことでした。このような大規模研究を進める凄さに圧倒されると同時に、確実に研究が進められていることを実感できた見学会でした。丁寧にご案内いただいた量子科学技術研究開発機構の皆様に厚く御礼申し上げます。



(公)鉄道技術総合研究所「電力技術交流会」のご案内
この度当研究所では「電力技術交流会」を下記の通り開催いたします。関係の皆様にご参加をいただきますようご案内申し上げます。

日 時 平成28年10月21日(金)(12:45受付開始)
見学会 13:15〜14:15(電力関連設備を見学いただけます)
* 見学会にご参加の方は13:10までに講堂前に集合ください
講演会 14:30〜17:55(講演会からの参加も可能です)

場 所 (公)鉄道総合技術研究所(JR中央線 国立駅下車 北口徒歩約7分)

講演会プログラム
14:30〜14:35 開会の挨拶  技術推進部部長 館山 勝
14:35〜14:55 変圧器の寿命判定法  電力技術研究部主任研究員 赤城 雅陽
14:55〜15:15 超電導磁気軸受を用いたフライホイール蓄電装置の開発
        浮上式技術研究部主任研究員(上級) 山下 知久
15:15〜15:35 架線着霜の予測手法  防災技術研究部副主任研究員 宍戸 真也
15:35〜15:45   −休憩−
15:45〜16:05 超電導き電ケーブル  材料技術研究部室長 富田 優
16:05〜16:25 曲線引金具のひずみ計測によるパンダグラフすり板の段付摩耗検知手法
        鉄道力学研究部副主任研究員 小山 達也
16:25〜16:45 離線測定と目安値  電力技術研究部主任研究員 早坂 高雅
16:45〜17:05 電車線の非接触測定技術  電力技術研究部主任研究員 根津一嘉
17:05〜17:20 電力技術の将来展望  電力技術研究部部長 兎束 哲夫
17:25〜17:55 −ミニセッション−

参加費 無料(お名刺を2枚準備願います)
講演会終了後,意見交換会(18:00〜19:00)を予定しております。こちらにもご参加下さい。
*参加ご希望の方は,別紙参加申込書にご記入の上,FaxまたはE-mailにて平成28年10月14日までにご返信願います。
なお,下記URLにてもお申し込み受け付けをいたします。
URL http://www.rtri.or.jp/sales/gijutu/index.html


第28回超電導電力貯蔵研究発表会
 2016年7月7日(木)、梅雨明けを思わせるような晴天の日に、超電導エネルギー貯蔵(SMES)研究会の第28回研究発表会が學士會舘で開催されました。本年4月1日から電力の小売業が全面自由化され、低圧受電のご家庭などでも電力会社や料金メニューを自由に選択できるようになりました。東日本大震災以降、原子力発電の再稼働が大きく進展せず、火力発電で使用する化石燃料は多くを海外からの輸入に頼り、市場価格が不安定なうえ、その利用に伴って発生する温室効果ガスの排出量削減が必要となっています。その対策の1つとして、環境への影響と資源の枯渇の恐れが少ない再生可能エネルギーの導入量を増やすには、電力系統の安定運用に支障をきたさないよう発電出力を安定化するため電力貯蔵システムの利用が鍵を握るのではないでしょうか。数ある電力貯蔵システムの選択肢の中からSMESの長所、短所を踏まえ、どのような場所にどのように使うのがよいか活発に議論していくことも大切ではないかと思います。
 さて、今回の研究発表会では、技術研究発表4件、特別講演として高エネルギー加速器研究機構 准教授の都丸 隆行 先生より「重力波天文学の幕開け」のご講演をいただきました。技術研究発表では、平成27年度SMES研究会の取組みの中から、各種電力蓄電装置の調査結果として取組んだ、二次電池に関する講演が中心となりました。
 正田会長の挨拶の後、最初の発表として技術委員会委員長の秋田 調 氏より、SMES研究会の平成27年度調査結果としてとりまとめた技術報告書の概要による活動報告及び平成28年度活動計画について説明がありました。平成27年度は、群馬大学医学部付属病院におけるRUPS(Resiliency Uninterrupted Power Supply)システムに関する検討に加え、リチウムイオン電池、レドックスフロー電池、NAS電池、超電導フライホイール蓄電システム等の電力貯蔵装置について調査を進めてきましたが、更なる検討のため平成28年度も引き続き、SMESが他の電力貯蔵装置と比較してエネルギー貯蔵効率等の観点からどういった優位性があるのか比較検討・整理していくとの説明がありました。また、SMES研究会会員としての特典等についても補足説明がありました。
 次に,平成27年度技術委員会において取組んだ調査内容から、蓄電池の中で紹介したいと考えられた3件について発表がありました。まず、(株)東芝 電力流通システム事業部 系統ソリューション技術部 主幹の小林 武則 氏より、(株)東芝で製造、販売されているリチウムイオン電池のSCiB(商品名)の紹介がありました。SCiBの最大の特徴は、負極に非導電性材料であるチタン酸リチウム(LTO)を使用していることにあるとのことです。これにより、正極と負極が電池の内部で短絡した場合でも発火しない安全性の高い電池となっているそうです。また、(株)東芝は、電池そのものの製造からパワーコンディショニングシステム(PCS)の周辺機器も含めたシステムを一貫して設計・製造していることが大きな強みとなっているとのことでした。実際に変電所等で使用されている例も紹介され、具体事例として、東北電力の南相馬変電所に、電力需給バランス調整用に出力40MW、容量40MWhの世界最大級のリチウムイオン電池システムを平成28年2月に運用開始したとのこと、海外では北米の-20℃以下になるような低温環境下への納入実績があり、気温によるSCiBの性能低下はそれほど大きくないことなどが紹介されました。
 次に、住友電気工業(株)フェロー パワーシステム研究開発センター 二次電池部長の重松 敏夫 氏より、自社で開発しているレドックスフロー電池について紹介がありました。カルフォルニア州では公益事業委員がカルフォルニア州の三大電力会社に2020年までに1.3GWの蓄電池を導入することを義務付けており、レドックスフロー電池もアメリカで実証試験を進めていくことが決まったとのことです。セルの数で出力が、電解液のタンク規模で蓄電容量が決まることから、電池の出力と容量を独立して設計できることや、充放電による劣化がほとんどなく、かつ、電解液は永久に使用できるため耐久性に優れていることなど、レドックスフロー電池は大きな長所を持っているようです。また、レドックスフロー電池の更なる低コスト化に向けて、住友電気工業(株)が独自にマンガンイオンとチタンイオンを使った硫酸系電解液の研究にも取り組まれているとのことでした。具体的な導入実績として、大規模な用途への適用に向いている特徴を生かして、北海道電力 南早来変電所に出力15MW、容量60MWhの大容量のレドックスフロー電池を設置した例や、リアルタイムで正確にSOC(State Of Charge)を計測できることから、独自のエネルギーマネジメントシステムを導入して、SOCの最適制御を行っている例などが紹介されました。
 最後の技術研究発表では、日本ガイシ(株)電力事業本部 営業企画部 マネージャーの渥美 淳 氏より日本ガイシ(株)で開発しているNAS電池の紹介がありました。NAS電池は、大容量、高エネルギー密度、高速応答性、長期耐久性等の優れた特徴を有すものの、NAS電池そのものが危険物の指定を受けているため、モジュール電池について、外部で火災が発生した場合、浸水した場合、衝撃荷重を受けた場合、外部で短絡が発生した場合、内部単電池が燃焼した場合等の安全性確認試験を実施しているとのことでした。また、NAS電池は2002年度から商用販売を開始してきたことから、日本国内だけでも36万kWの納入実績があるそうです。風力発電所、太陽光発電所、離島等様々な用途に応じた、多くの使用実績の例をご紹介いただきましたが、その中でも九州電力 豊前発電所に納入されたNAS電池は、出力50MW、容量300MWhで世界最大級の容量となる蓄電池だそうです。
 特別講演では、都丸 隆行 先生より、重力波のトピックスに関するご講演をいただきました。お忙しい中、富山県のKAGRA実験施設から講演会場の學士会館まで直接駆けつけていただきました。まさに、基礎科学の最先端の研究であり、実際にはとても難しい研究であるにもかかわらず、具体的な内容も踏まえて大変わかりやすく、説明していただきました。アメリカが重力波を初めて検出した時のエピソード、その観測された重力波の意味する重要性、一番身近である重力という現象が、実は一番わからないことが多い現象であることなどを伺うことができました。また、重力波を観測するためには、10-24mという想像を絶する高精度の測定が必要であり、その高い測定精度を実現するために、KAGRA重力波望遠鏡に使われている低温技術なども紹介していただきました。具体的には、冷凍機には特別に振動の小さいパルス管冷凍機を採用していること、観測用のサファイアミラーを極低温に冷やすために、振動を伝えず、かつ、熱だけを伝えるようにするため、非常に細い6Nの超高純度アルミ線(6Kにおける熱伝導率は40,000 W/(m・K))を使用していること、KAGRA用の真空容器は長さが3kmにもなる世界最大級の容器であるため、アウトガスの非常に小さい真空多層断熱材を使用していることなどの紹介がありました。
 七夕の日に相応しく、宇宙へのロマン、科学者の熱い思いを第一線の先生から伺うことのできた大変貴重なご講演で研究発表会を締めくくることができました。
 また、研究発表会後には、ご来賓の都丸 隆行 先生にもご参加いただいて、和やかに懇親会が開催されました。ご講演をいただきました先生方に感謝申し上げるとともに、大変暑い中、多数の方のご参加をいただきましたこと、この場を借りてお礼申し上げます。



第310回公開拡大技術委員会・見学会
2016年02月19日(金)午後に第310回拡大技術委員会が兵庫県尼崎市にある岩谷産業中央研究所で14名の方にご参加いただき開催されました。はじめに、岩谷産業様の中央研究所を見学させていただいた後、委員会が行われました。

中央研究所見学では、液体水素実験室等の各種実験室、液体水素貯蔵タンク、水素ステーション(写真参照)、デモンストレーションルーム、技術展示コーナなどを見学させていただきました。液体水素実験室は、このような実験ができる設備は日本で2箇所しかない貴重な設備であるとのことで、施設の安全設備などについても説明を伺うことができました。当日は、液体水素で冷却するSMESコイルモデルを見学させていただくことができました。また、実験室やデモンストレーションルームでは、100MPa水素コンプレッサ、PSA(Pressure Swing Adsorption)方式の水素精製装置、溶接のデモンストレーション装置、不純物ガス測定装置、混合ガス製造装置等を見学させていただきました。溶接技術も岩谷産業様の重要な技術の柱のうちの1つであり、溶接のデモンストレーション装置は溶接電源、溶接ワイヤー、シールドガスを自由に組み合わせることができ、いろいろな溶接条件を試験できる装置になっているそうです。また、液化水素の品質を向上させるためには、非常に微量の不純物ガスも管理することが重要であり、不純物ガス測定装置は10pptの精度まで測定できるそうですが、このレベルの精度を測定するにはバックグラウンドを下げる技術も必要になるそうです。混合ガス製造装置は1mgの単位の高精度でガスを混合できるそうで、標準ガスを作るのにこのような高い精度が必要とのことでした。

 見学後の委員会では、委員長の秋田調氏より技術委員会の平成27年度事業計画と開催実績の説明をいただいた後、住友電気工業の重松様、大阪大学の伊瀬先生、明治大学の野村先生にそれぞれご講演いただきました。

まず、重松様からは、レドックスフロー電池についてご紹介いただきました。アメリカでは、燃料電池の技術者がレドックスフロー電池の改良研究で成果を上げており、開発競争が活発になってきていること、レドックスフロー電池はNAS電池のように法律で規制を受けるような材料が使われていないため安全性にも優れていること、さらなるレドックスフロー電池の低コスト化の検討されていることなどのお話を伺うことができました。
 次に、伊瀬先生より、最近の電力変換器についてご講演いただきました。SMES用途の電力変換器として、高電圧用モジュラーマルチレベル変換器に双対変換的な考え方を適用した低電圧大電流の変換器の検討例を紹介していただきました。低電圧であるため、MOSFETを適用でき、ショットキーバリアダイオードとあわせた主回路を構成すると、スイッチング損失などを考慮しない計算において90%以上の電力変換効率も可能であるとのことでした。
 最後に、野村先生より360MWhの日負荷平準化用SMES装置の検討例をご紹介いただきました。工場で製造したSMESコイルを現地へ運搬できるようにするためにSMESコイルの直径を4m以内として設計し、Y系線材の電磁力平衡超電導コイルを4000個設置するというご提案でした。超電導コイルの数が多いために単位体積当たりの表面積が広く、かつ、日負荷平準化の用途で待機時間が6時間程度となるため、SMESのエネルギ効率を検討するには比較的厳しい条件で計算された結果であるにもかかわらず、超電導コイル温度20Kでの運用でエネルギ貯蔵効率71%、50Kでの運用で79%という結果が得られたそうです。
 
水素エネルギに関する最新の設備を見学でき、また、貴重な最近の技術動向のお話を聴講させていただくことができましたこと、中央研究所をご案内いただきました岩谷産業(株) 繁森敦様、ご講演いただきました住友電気工業(株)の重松敏夫様、大阪大学伊瀬敏史先生、明治大学野村新一先生に深く感謝いたします。
(写真:水素ステーション前にて(写真に写っている自動車は燃料電池車のミライ))



第308回公開拡大技術委員会・見学会
超電導電力貯蔵(SMES)研究会の第308回拡大技術委員会が平成27年8月27日(木)東京工業大学 大岡山北3号館(EEI棟)1階ホールにおいて、SMES研究会の委員となられていない皆様にもご参加いただき、総勢17名の参加者のもと公開にて開催されました。
 本拡大技術委員会では、まず、技術委員会委員長の秋田 調 氏より平成27年度の事業計画について、引続き世界をリードするSMES検討集団として、時代を先取りした技術的検討とSMES啓発のための活動を進めていくことの確認等がなされました。
 続いて、群馬大学医学部付属病院 システム統合センター 副センター長・准教授 鳥飼 幸太 先生より、東日本大震災による計画停電の実経験から、同病院が災害時医療活動の中心的役割を担う災害拠点病院として機能を発揮するため、全電力を無停電にて供給する必要があること、その解決策としてフライホイール付誘導電動・発電機とディーゼル エンジンをクラッチで連携可能とした瞬低及び長時間の電力供給対策に加え、SMESがその電力不足となる時間領域を分担することで、停電時の全時間帯に渡って安定した電力供給が見込めるRUPS(Resiliency Uninterrupted Power Supply)システムについて提案がありました。本システムが耐災害時にも強靭な電力供給能力が期待されることから、電力事情が不安定なエリアをはじめ人口の集中する欧米等、国内外に多くのニーズが見込めることから、スケール メリットを活かした魅力的な価格設定によって大きなシェアが期待できるのではないかといった見解が述べられました。
 その期待に応えるべく、東京工業大学名誉教授 筑波大学 パワエレ寄附講座 特命教授 嶋田 隆一 先生より、RUPSシステムの中からフライホイール付誘導電動・発電機とディーゼル エンジンをクラッチで連携するシステムのコスト削減施策等について提案がありました。本提案には、東京電力から受電中にも誘導電動機でなく構成要素の一つであるSVC(静止形無効電力補償装置Static Var Compensator)から進相無効電力を注入して停電時以外も誘導発電機として運転し、契約電力の低減や売電等に活用することでコスト削減に寄与するというものがありました。これら、嶋田 隆一 先生や鳥飼 幸太 先生のご提案に対して、参加者からビジネスモデルとしての展開も視野に入れて進めていってはどうかといったご意見があり、国の支援制度の利用等も勘案し、SMES研究会の委員でない参加者のご協力もいただきながら可能性の検討を進めていくこととなりました。
 また、本拡大技術委員会の途中に、東京工業大学で主にトカマク型核融合炉開発の基礎研究を行っておられる飯尾・筒井研究室のご配慮のもと、トカマク装置(写真右下)の電源として利用しているフライホイール誘導機(写真左側)の見学をさせていただきました。最上部に4極55kWかご型3相誘導機、最下部に直径0.64m,厚さ0.135m,回転速度1,500rpm,蓄積エネルギー220kJのフライホイールがカップリングを介して縦軸に取付けられ、高さは1.2mのコンパクトな装置でした。見学時の実験ではフライホイールで蓄積したエネルギーを誘導機で発電し、その電力をPWMコンバータとDCチョッパによりトカマク装置の定格直流電圧140V,電流200Aに変換し、5秒以上通電することができました。騒音による不快感がなく、冷却装置が不要なシンプルかつコンパクトな装置であり、活躍の場が広がる予感を感じました。
 最後になりましたが、見学にあたりご説明いただいた飯尾・筒井研究室の皆様(写真右下)に深く感謝申し上げます。



第27回超電導電力貯蔵研究発表会
第27回超電導電力貯蔵研究発表会が平成27年7月9日(木)アルカディア市ヶ谷において開催されました。東日本大震災を経験した我が国では、地球環境への配慮とともに再生可能エネルギーの導入拡大と普及促進が進められているところです。SMESは電力貯蔵に対して、高効率、電力授受の即応性に優れるといった利点を有し、その一翼を担うことができることから更なる導入を目指していくことが必要ではないかと考えられます。そのような中、技術研究発表では東日本大震災時の輪番停電を契機とした群馬大学付属病院の災害時BCP(Business Continuity Plan:業務継続計画)策定のため、SMESの適用を含めた病院全体の無停電電力供給について、平成26年度の研究成果3件が報告されました。特別講演では、公益財団法人 鉄道総合技術研究所 超電導応用研究室長の富田 優 先生より「超電導技術で鉄道システムの合理化を目指す〜鉄道用超電導き電の研究開発〜」のご講演をいただきました。今回の研究発表会には、大学、研究機関、企業等から60名弱の皆様が参加され、各発表に対して活発な意見交換が行われました。
 会長の挨拶の後、まず、技術委員会委員長の秋田 調 氏より、SMES研究会における平成26年度の研究成果の概要及び平成27年度の活動方針等が紹介されました。その中で、現在、SMESに関して組織的に研究を進めている団体は世界で唯一となり、会員の各専門家が自由で活発な議論を展開しながら技術検討を進めていること。平成26年度の研究成果は技術報告書としてホームページに期間限定で公開中であり、本内容は会員限定で無期限にダウンロードや印刷可能といった特典があることなどから、広く会員を拡大し、より多くの専門家の皆様と議論を深め、更なるレベルアップを図っていきたいとの抱負が述べられました。
 次に、群馬大学医学部付属病院 システム統合センター 副センター長・准教授 鳥飼 幸太 先生より「群馬大学付属病院における蓄電装置を用いた受電−自家発電切り替え時のシームレス無停電化の検討」について発表がありました。群馬大学付属病院における電力供給計画の課題としては、被災によって東京電力からの電力供給が断たれた場合にも災害の拠点サイトとして、被災患者受け入れのためにも診療継続する必要があり、被災時にはそのニーズはより増大することが想定されている。そのためには病院全体の電力をまかなう必要があるが、東日本大震災当時、病院内の最大電力8,000kWに対して自家発電設備容量は3,000kWであり、昼夜の使用電力格差が大きく、全てをコジェネレーションでまかなったとしても採算がとれない。つまり、最大電力でも供給可能な採算のとれる電力設備計画が課題となっていることが紹介されました。
 鳥飼 幸太 先生より紹介いただいた課題を解決するため、SMES研究会の研究成果として、まず、明治大学 理工学部 電気電子生命学科 准教授 野村 新一 先生より「SMESを適用した群馬大学付属病院の電源問題への対応可能性」について発表がありました。群馬大学付属病院で必要となるSMESの電力貯蔵容量は電子カルテなどサーバ系継続運転のための非常用発電機起動用の補償電力であり、500kW−2分間(60MJ)とのことを鳥飼 幸太 先生に確認のうえ検討を進められました。SMESの開発経緯の変遷は、当初、概念設計された長時間大電力供給用としての揚水発電代替装置に変わって、優れた充放電特性から短時間大電力供給用の電力品質改善装置として実用化されている。国内で既に実用化されたSMESの中で最大規模を誇る電気炉負荷変動補償用に活用された装置(10MVA/20MJ)の実地試験結果をベースに、装置構成や規模、有効・無効電力の周波数応答性、交流損失、冷凍動力、貯蔵効率、コスト評価等について検討されたところ、蓄電池に比べコストアップにはなるがSMESによって必要な要求仕様が満足できるとのことで、より詳細な検討に加え実地試験を進めていく意義があると報告がありました。
 次に、「電池、フライホイールを含む群馬大学付属病院の電源問題への対応可能性」について、電池に関しては一般財団法人 電力中央研究所 電気化学領域 上席研究員 三田 裕一 氏、フライホイールに関しては筑波大学 数理物質系 物理工学域 特命教授 嶋田 隆一 先生の研究成果について、技術委員会委員長の秋田 調 氏より代行発表がありました。キャパシタは短時間用なので適用性が低いことから、フレキシブルで実系統にも導入実績が豊富なナトリウム硫黄電池とリチウムイオン電池について検討された結果が紹介されました。フライホイールについては同一回転軸上に500kWの誘導発電電動機を直結し、停電から10秒程度までをフライホイールの慣性を利用して電力供給するが、周波数低下となるため病院内の電気設備に影響がないか別途確認するとのことでした。また、更に同一回転軸上に500kW非常用エンジン発電機をクラッチ等で直結することで非常用エンジン発電機の起動を確実に行い、10秒以降の周波数回復とその後2分間の電力供給をまかなうとのことです。ここで、鳥飼 幸太 先生より、SMESは蓄電池に比べてイニシャルコストは高価だが、蓄電に比べて3倍以上の長寿命でランニングコストが安価であることを踏まえ、フライホイール(停電後1〜2秒)とクラッチ付非常用エンジン発電機(停電後10秒後〜)、SMES(停電後2秒〜)それぞれの得意とする時間領域や特徴を相互に補完しあった仮称RUPS(Resiliency Uninterrupted Power Supply:弾力的無停電電源装置)システムについて提案がありました。そして、RUPSの詳細な検討や設計等に関し、SMES研究会への更なる支援について要請がありました。
 技術研究発表の後、富田 優 先生が取り組まれた高温超電導に関する研究の中から、鉄道用のき電線を超電導ケーブルに移行する研究についての特別講演がありました。
鉄道の電化方式には単相交流と直流があり、我が国では都市圏を中心に、き電線の離隔距離が短くトンネルの小型化や敷地の有効利用が図れる直流の比率が高いとのことです。現行の都市圏における鉄道用変電所は線路長が数km間隔で設置され、そのメンテナンス費用の削減や便数増加に伴う電力不足と電圧低下が課題になっているとのことでした。超電導ケーブルによるき電線の直流送電が実用化されれば、超電導維持用冷却エネルギーは必要になりますが、送電損失の削減に加え、電圧低下がないため変電所が削減できる可能性があります。変電所数が削減できれば、同一変電所内に走る電車が多くなり回生ブレーキによって生じた電力が有効に利用できることから回生失効が低減され省エネにつながりますし、機械ブレーキの使用頻度が減少してメンテナンス費用の削減も期待できるとのことです。講演では、この超電導き電ケーブルの実現に向けた超電導ケーブル及びその冷却システムの設計、試験列車を用いた検証試験等について紹介がありました。超電導ケーブルについては許容電流範囲内であれば劣化なく使用できること、電車の突進・空転・リップルで電力損失が無いことの確認ができたそうです。また、鉄道現場に設置可能なコンパクトな冷却方式の検討状況について、300mの超電導き電ケーブルと営業線路への導入成果等を紹介いただきました。今後は、冷凍機のコンパクト化に向けて超電導ケーブルの熱侵入を更に低減できるよう断熱材や真空層の厚さの最適化、端末からの熱侵入への対応等、更に研究を進めていかれるとのことでした。質疑応答では、超電導ケーブルの敷設は通常のCVケーブルに比べて硬かったものの、特別な配慮なく実施できたことや超電導ケーブルにもう少し柔軟性をもたせたいといった希望も述べられました。また、超電導き電ケーブルのシステム構築費用は、変電所建設費の半分程度までコスト削減を目指すとともに、導入対象路線の選定にあたりメリットを享受できるよう配慮する必要があるとの見解を伺うことができました。本講演を通じて、超電導応用技術により鉄道システムの更なる効率化と地球環境への配慮に対する期待を抱くことができました。
 研究発表会後の懇親会では、富田 優 先生もご一緒に、SMESや超電導ケーブルといった超電導電力応用技術に対する熱心な意見交換が行われ、我が国の超電導電力応用技術が世界をリードしていくことが期待されていることを感じました。



見学会報告 (公財)鉄道総合技術研究所
2014年6月5日に国分寺市の公益財団法人鉄道総合技術研究所(以下、鉄道総研)を見学させていただきました。見学会には電力貯蔵および超電導に関連する12名の方々が参加されました。
 鉄道総研はJR各社からの負担金を受け、鉄道事業に関連する広範な研究を行っており、約400人の研究員が在籍され、そのうちおよそ45%の研究員が博士号を所持される国内最大級の鉄道系研究機関です。今回訪問した国立(くにたち)研究所は5万坪(=東京ドーム4つ分)の敷地内にレールや変電所、模擬駅舎を敷設しており、鉄道総研の中でも中枢となる研究所とのことです。今回、フライホイール式電力貯蔵システム、蓄電池を搭載した電力リサイクル車両、キャパシタ方式による電力貯蔵装置、超電導直流き電システムを見学しました。また、JR東海が2027年に営業開始を予定している超電導リニアに関する研究経緯が紹介されました。鉄道総研では前身である旧日本国有鉄道鉄道技術研究所であった1962年からリニアモーターカーの研究を行ってきたとのことです。屋外には曝露試験として設置してある車両(MLX-01)も見学することができました。
 リニアに関連して超電導磁石の耐久性試験用加振試験装置や高温超電導線材を使用した超電導磁石の紹介がありました。これにより超電導磁石を50Kで運用することで、冷却に要する消費電力の大幅な削減や、車載超電導磁石の小型・軽量化等が期待されるとのことでした。
 エネルギーの損失低減を目的として車両、電力貯蔵装置、送電方式に関連する研究が行われています。リチウムイオン二次電池を搭載したHi-tramと呼ばれる試験電車は、架線による電力供給と蓄電池によるハイブリッド運転が可能でブレーキ時に発生する回生エネルギーを失効することなく車体に蓄えることが可能とのことです。
 地上設備用の電力貯蔵装置としてキャパシタと、超電導磁気軸受を用いたフライホイールについて紹介がありました。鉄道事業における蓄電装置は電圧降下の補償、電気回生エネルギーの吸収、変電所ピーク電流の低減が主な目的で、急速充放電が可能、長寿命、メンテナンス性等が要求されるとのことです。リニア開発で培ってきた超電導技術の適用により、回転体の高荷重を負担する軸受部分が完全非接触となるため容量および運転効率やメンテナンス性の更なる向上が見込まれるとのことでした。
 送電方式については直流送電を想定した超電導電力ケーブルとその送電システムについて精力的に研究されています。鉄道事業においては電圧降下の防止を目的として数km毎に変電所を設置しているとのことですが、それでも一定時間に通過する車両数が一定量を越えると電圧が大きく下降するとのことです。このため、電圧降下の無い超電導直流送電システムの導入が期待されているとのことです。
 今回の見学会を通じて鉄道事業における省エネルギー化をねらいとした各種研究内容と、リニアに関するこれまでの研究、開発への取組みについて多くの知見を得ることができました。最後になりましたが、見学会の開催にあたり多大なご協力をいただいた(公財)鉄道総合技術研究所の皆さまに深く感謝申しあげます。